メタバースとは?メリットやデメリット、VRとの違い、活用シーンなど紹介

メタバースとは ITツール

昨今注目されているメタバースについて、実際はよく理解していない、どのような活用方法があるのかわからないという方も多いでしょう。

本記事では、そもそもメタバースとは何か?特徴やVRとの違い、メリットやデメリットを解説します。

また、具体的にどのようなシーンで活用されているのかも紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

メタバースとは仮想空間。わかりやすく解説

メタバースとは、インターネット上に構築された仮想空間で、人々がアバター(デジタル上の分身)を通じてリアルタイムで交流し、働いたり遊んだりすることができるデジタル世界を指します。

「meta(超越)」と「universe(宇宙)」を組み合わせた言葉で、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などの技術を活用し、現実世界とデジタル世界を融合させた新しい体験を提供。

この空間では、没入感のあるリアルな体験が可能で、ゲームやエンターテインメント、リモートワーク、教育、ショッピング、医療など、多様な用途で活用されています。また、仮想通貨やNFTを用いたデジタル経済が活発に機能し、新しいビジネスチャンスが広がっています。

近年、メタバースは次世代のインターネットとして注目されており、技術の進化とともに、ライフスタイルやビジネスの在り方に大きな変革をもたらす可能性が高いとされています。

メタバースVRとの違い

項目メタバースVR
対象仮想空間全体やその中での活動仮想空間への没入体験を提供する技術
アクセス手段VRデバイス以外にも対応主にVRヘッドセットが必要
機能と目的経済活動、社会交流、教育、ビジネスなど多目的ゲーム、トレーニング、エンターテインメントなど
技術的要素仮想空間にアクセスし、利用するプラットフォーム物理的に仮想空間を体験するための技術
経済活動仮想通貨やNFTなどを使った経済圏が存在経済活動の機能は一般的に含まれない

メタバースは、VRを含む多機能プラットフォームとして、仮想空間での多様な活動や経済圏を提供する広範な概念です。

一方、VRは没入型体験を可能にする技術であり、メタバース内での一部機能としても利用されます。

メタバースが注目される背景や理由

メタバースが注目を集める背景には、技術の進化や社会の変化、経済的な可能性が大きく影響しています。以下にその主な理由をまとめます。

技術の進化と普及

近年、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、5G通信、AIなどの技術が急速に発展し、メタバースを実現するための基盤が整いつつあります。これにより、よりリアルで没入感のある仮想空間が実現可能となり、多くの人々が簡単にアクセスできるようになりました。

また、高性能なデバイスの価格低下により、一般ユーザーの利用ハードルが下がったことも注目の要因です。

デジタル社会の拡大

新型コロナウイルスの影響でリモートワークやオンラインイベントが急速に普及し、デジタル空間での交流や活動が日常化しました。この流れが、メタバースの需要を加速させています。

物理的な制約を超えた新しい働き方やライフスタイルを提供できるメタバースは、社会的に求められる存在となっています。

経済的な可能性

メタバースでは、仮想通貨やNFT(非代替性トークン)を活用した経済活動が活発化しています。仮想空間内での土地やデジタルアイテムの取引、イベントの開催、コンテンツ制作など、新しい市場が形成され、企業や個人に多くのビジネスチャンスを提供しています。

こうしたデジタル経済の成長が、メタバースの注目度を高めています。

エンターテインメントの進化

ゲーム業界を中心に、メタバース内での体験がエンターテインメントとして進化しています。ユーザーが仮想空間内で自由に活動できることや、他のユーザーとリアルタイムで交流できる環境は、従来の娯楽を超える魅力が特徴。

企業もメタバースを活用した新たなブランド体験やマーケティングに注力しています。

グローバル企業の参入

Meta(旧Facebook)をはじめとする大手IT企業が、メタバースへの巨額投資を行い、本格的な参入を発表したことが話題を集めました。

これにより、メタバースが次世代のインターネットとしての期待を背負い、世界的な注目を浴びるようになりました。

メタバースのメリット5つ

メタバースの主なメリットを紹介します。

・仮想空間で新しい体験ができる
・ビジネスチャンスを拡大できる
・ユーザーとのコミュニケーションは取りやすい
・現実世界でのハンディキャップを解消できる
・コロナなどの感染症対策に適している

仮想空間で新しい体験ができる

メタバースは、現実では不可能な体験や活動を仮想空間で可能にします。ユーザーはアバターを通じて、異なる世界を探索したり、クリエイティブな創作活動を楽しんだりできます。

また、バーチャルコンサートや展示会、スポーツ観戦などの新しいエンターテインメント体験も提供され、現実世界では得られない没入感や自由度を感じられる点が魅力です。

ビジネスチャンスを拡大できる

メタバースでは、物理的な制約を超えたグローバルな市場が広がります。仮想空間内での店舗運営、デジタル商品の販売、イベントの開催など、多岐にわたるビジネスモデルが実現可能です。

また、リモートワークやバーチャル会議など、新しい働き方やコラボレーションの場としても活用され、既存の事業の枠を超えた成長の機会を提供します。

ユーザーとのコミュニケーションは取りやすい

メタバースはリアルタイムでのコミュニケーションを可能にするため、ユーザー同士や企業と顧客とのつながりを強化します。

アバターを通じて直感的に会話ができるため、従来のオンラインツールよりも親近感のある交流が可能です。また、3D空間での対話やイベントは、よりリアルに近い感覚で関係を深めることができます。

現実世界でのハンディキャップを解消できる

メタバースでは、身体的なハンディキャップや地理的な制約が関係なくなります。

例えば、身体的に移動が困難な人でも、仮想空間内で自由に活動したり、他者と交流したりすることが可能。また、住む地域や国を問わず、同じ仮想空間で他のユーザーと平等に関わることができるため、より多くの人々に公平な機会を提供できます。

コロナなどの感染症対策に適している

新型コロナウイルスのような感染症のリスクがある状況でも、メタバースは安全な交流や活動の場を提供できます。

仮想空間内でのイベントや会議は、物理的な接触を伴わないため、感染リスクを完全に回避。また、リモートワークやバーチャル教育にも活用され、社会活動を止めることなく続けられる柔軟性があります。

メタバースのデメリット4つ

メタバースの主なデメリットを紹介します。

・法整備がまだ整っていない
・時間とコストがかかる
・セキュリティ対策を徹底しなければいけない
・仮想空間に依存する可能性がある

法整備がまだ整っていない

メタバースは新しい技術であり、法的な枠組みがまだ十分に整備されていません。

例えば、仮想空間内での著作権やデジタル資産の所有権、詐欺やトラブルへの対応など、多くの課題が残っています。これにより、トラブルが発生した際に明確な基準や解決策がない場合があり、ユーザーや企業にとってリスクとなる可能性があります。

時間とコストがかかる

メタバースの構築や利用には、時間とコストが必要です。高性能なデバイスやインフラ整備、コンテンツ制作にかかる費用が大きく、特に中小企業や個人にとっては負担が大きい場合があります。

また、仮想空間内のイベントやビジネス展開を成功させるには、企画やプロモーションに時間をかける必要があり、迅速な展開が難しいこともデメリットです。

セキュリティ対策を徹底しなければいけない

メタバースでは、個人情報やデジタル資産が仮想空間内でやり取りされるため、サイバーセキュリティのリスクが高まります。

ハッキングや詐欺、プライバシー侵害など、現実世界以上に慎重な対策が求められます。セキュリティ対策を怠ると、ユーザーの信頼を失うだけでなく、法的責任を問われる場合もあるため注意しましょう。

仮想空間に依存する可能性がある

メタバースの魅力に引き込まれ、仮想空間に依存してしまうリスクがあります。

特に、過度に時間を費やすことで現実世界の生活や人間関係が疎かになる可能性も。また、依存度が高まることで、仮想空間内でのトラブルや不具合が現実の生活に大きな影響を与えるケースも懸念されています。

メタバースの活用シーン!どんなことができる?

メタバースはどのような分野やシーンで活用されているのか?

いくつか例を紹介しているため、ぜひチェックしてみてください。

ゲーム分野でのメタバース

メタバースはゲーム分野で、従来の枠を超えた新しい体験と可能性を提供しています。

仮想空間内では、プレイヤーが自由に探索し、他のユーザーとリアルタイムで交流することが可能です。また、「Minecraft」や「Roblox」のように、ユーザー自身がゲーム内のアイテムやステージを作成し、収益化できる仕組みが整っています。

さらに、「The Sandbox」や「Decentraland」では、仮想通貨やNFTを活用した仮想経済が活発で、ゲーム内の土地やアイテムの売買が現実収益に繋がります。

他にも、アーティストのバーチャルライブや展示会などのイベントも開催され、ゲームのエンターテインメント性が大幅に向上しています。

例えば、「Fortnite」のバーチャルライブは数百万人を集め、ブランドやアーティストとのコラボレーションの場となっています。また、「VRChat」や「Second Life」では、プレイヤー同士が仮想空間でコミュニティを形成し、共通の目的で協力しながら活動することが可能。

このように、メタバースはゲーム分野での娯楽を拡張しつつ、クリエイティビティ、経済活動、リアルな交流の場を提供するプラットフォームとして進化を続けています。

ビジネス分野でのメタバース

ビジネス分野での活用シーンをいくつか紹介します。

バーチャルオフィス

メタバース内に仮想のオフィスを構築し、社員や関係者がアバターを使って業務や会議を行う活用法です。

物理的なオフィスを必要とせず、リモート環境でもリアルタイムでのコミュニケーションが可能。また、自由にデザインされた仮想空間は、チームの一体感を高める効果があります。

移動時間やコストを削減しつつ、グローバルなコラボレーションを促進するツールとしても注目されています。

バーチャルショッピング

メタバース内で仮想店舗を開設し、ユーザーがアバターを使って商品の閲覧や購入を行える仕組みです。

現実の店舗では実現が難しい演出や商品体験を提供でき、より魅力的な顧客体験を生み出します。また、仮想通貨やNFTを活用した支払いも可能で、ブランドの認知度向上や新規顧客の獲得に繋がります。

例えば、商品の試着や設置イメージを仮想空間で確認することで、購買意欲を高めることが可能です。

バーチャルイベント

展示会、会議、セミナーなどのイベントを仮想空間で開催する方法です。

参加者は移動の必要がなく、仮想空間内で製品やサービスを体験し、企業や他の参加者と交流できます。コストを抑えながら、世界中の参加者を招くことが可能です。

例えば、新商品発表会や業界関係者とのネットワーキングイベントなど、物理的な制約を超えた場を提供できます。

バーチャルトレーニングや研修

メタバースは、従業員のスキルアップや教育のための仮想トレーニング環境としても利用されています。

リスクを伴う作業や複雑なスキルを安全に学べる仮想空間を提供し、効率的な学習をサポート。

例えば、建設現場や製造ラインのシミュレーション研修や、接客や営業のロールプレイなど、多様なトレーニングを仮想空間で実施できます。

バーチャル不動産やプロジェクトプランニング

不動産や都市計画のプロジェクトにおいて、メタバースを活用して仮想の建物やインフラを設計・体験することができます。

関係者が完成イメージをリアルタイムで共有し、効率的に意見交換を行うことが可能です。例えば、モデルハウスの仮想内覧や商業施設の設計シミュレーションが挙げられます。

バーチャルマーケティングとブランド体験

メタバース内での広告やプロモーション活動を通じて、ブランドの認知度を向上させる活用法です。

インタラクティブで没入感のある体験を提供することで、顧客とのエンゲージメントを強化します。例えば、仮想空間内でのポップアップショップやイベントの開催、アバター向けのブランドアイテムの提供などがあります。

まとめ

メタバースは、仮想空間を活用した次世代のインターネットとして注目されています。

その特徴は、物理的制約を超えたリアルタイム交流や多様な体験を提供する点にあります。ゲーム分野では、プレイヤーが自由に探索し、仮想通貨やNFTを活用した経済活動の進化。

一方、ビジネス分野ではバーチャルオフィスやショッピング、イベント、トレーニングなど、業務効率化や新しい顧客体験を実現します。

しかし、法整備やコスト、セキュリティリスクなどの課題もあるのが実情です。今後、これらの課題を克服しながら、多様な分野でさらなる活用が期待されています。